プロジェクト年次計画と成果

プロジェクト年次計画

これまでの成果

平成21年度

「超高層大気科学バーチャル情報拠点」の中心的ハードウェアとなる「多点情報交換システム」として、テレビ会議システムやウェブ会議システムを導入しました。さらに、Wikiやメーリングリストも整備し、関連研究者間で頻繁な情報交換が行える環境を構築しました。一方、各機関において、メタ情報集積用計算機、およびデータ解析・表示ソフトウェア(IDL)を導入しました。

これによって、各連携機関に配置された「メタ情報システム開発員」は頻繁な定例開発会議を実施しました(平成21年度は合計28回)。国際的に展開している超高層大気観測ネットワークにおけるデータのメタ情報フォーマットについて議論し、SPASE(Space Physics Archive Search and Extract)データモデルを基礎にして、超高層大気の地上観測データに適したフォーマットを策定しました。解析ソフトウェアに関しては、超高層大気分野でよく使われているIDL言語で記述されたTDAS(THEMIS Data Analysis Software)をベースにして開発することを決め、仕様の検討を行いました。一方、メタデータ・データベースのシステムについても調査を行い、リポジトリソフトの一つであるDSpaceをカスタマイズしてシステムのプロトタイプ作成に取り組みました。

また、各機関が国際展開している超高層大気観測機器による観測の継続、通信回線の整備を行い、リアルタイムでのデータ収集を行いました。

平成22年度

平成21年度に策定したメタ情報の統一フォーマット(IUGONET共通メタデータフォーマット)にもとづき、各機関において観測データのメタデータ抽出を開始しました。また、作成されたメタデータのバージョン管理、文法チェック、データベースへの登録などを一括して行うシステムを作成し、名古屋大学太陽地球環境研究所にて運用を始めました。

メタデータ・データベースシステムのプロトタイプ(日本地球惑星科学連合2010年度大会の団体展示にてデモを行いました)に続き、公開バージョンの開発に取り組みました。プロトタイプと同様にDSpaceをベースにして、サイエンス研究での利用を想定した様々なカスタマイズをテストしました。

解析ソフトウェアについては、平成21年度に検討した仕様にもとづき、各機関で公開する観測データに即したプログラム開発を進めました。この解析ソフトウェアのベースとなるIDLのライブラリTDASの開発グループと打ち合わせを行い、IUGONETが作成したプログラム群は、パッチとしてIUGONETのホームページから配布することになりました。

前年度に導入した「超高層大気科学バーチャル情報拠点」を利用し、関連研究者間で頻繁な情報交換を行いました。メタ情報システム開発員による定例開発会議は隔週で開催され、また、IUGONETプロジェクト外部の有識者との意見交換会(STPデータ問題検討会)も毎月行われました。一方、データベースやメタデータ・データベース、解析ソフトウェアなどの研究インフラ開発を進める研究者と、それらを利用して学際的な研究を進める研究者とが一堂に会して意見交換を行う研究集会()の企画や運営にも積極的に係わりました。

第154回生存圏シンポジウム「メタ情報のデータベースを利用した分野横断型地球科学研究の進展」
名古屋大学太陽地球環境研究所研究集会「地球科学メタ情報データベースの現状とその活用」

また、国際的に展開している超高層大気観測ネットワークについて、継続的な観測および通信回線の維持・管理に努め、リアルタイムでのデータ収集を行いました。

平成23年度

平成22年度に引き続き、連携各機関でメタ情報の抽出を進めました。メタデータ・データベースシステムはユーザーインターフェースのカスタマイズを進めるとともに、抽出したメタ情報をデータベースに登録しました。

解析ソフトウェアは各機関から公開される観測データに即した表示・解析・ダウンロード機能を追加するとともに、利用者向けのマニュアルを整備しました。これらのプロダクトのベータ版を平成23年5月よりインターネット上で公開し、以降定期的なバージョンアップを行いながら平成23年度末に正式公開しました。世界中の研究者は、インターネットを通してこれらメタ情報を共有し、解析ソフトを利用したデータ取得・解析ができるようになりました。

上記の開発作業を進めるにあたり、「超高層大気科学バーチャル情報拠点」のディレクターおよび各機関のメタ情報システム開発員(研究員)等を継続して雇用しました。また、多点情報交換システムを活用し、関連研究者間の定期的な打ち合わせを実施しました。各連携機関においては、主に学内負担経費により、国際展開している観測装置の維持・運営、およびデータの収集を継続しました。また、専任教員は個別の観測データベースの作成・維持を担当するとともに、「超高層大気科学バーチャル情報拠点」に参加し、メタ情報をもとに多種多様なデータベースを活用した総合解析に取り組みました。

平成24年度

IUGONET参加組織では、前年度から引き続き、観測データのメタデータ抽出、メタデータ・データベースへの登録を進めました。加えて、参加機関以外の3 機関からのメタデータのご登録も頂き、平成23 年度末に約160 万件であったメタデータ・データベースの登録総数は、平成24 年度末には約800 万件となりました。これらの取り組みは、ヨーロッパや米国の超高層大気に関するコミュニティーからも注目を受け、データベース連携や共同研究が進みつつあります。

解析ソフトウェアについては、年2 回の全体集会に合わせて開催される解析講習会や機関ごとに実施する小規模な講習会の開催を通じて、ユーザーを増大させ、機能の追加を行いました。また、国内外の関連プロジェクトとの意見交換や協力も強化されました。

6年プロジェクトの後半の取り組みとして、平成24 年度前半には、前半3 年間の事業評価を行い、評価書をまとめると共に、関係学会等の組織から継続的な取り組みのためのサポートレターを頂きました。また、取り扱うメタデータの増加や必要とされるデータ解析の高度化に備え、各機関において計算機およびデータ記憶媒体を追加購入し、更新を進めました。国内外の関係する学会(サイエンスコミュニティー)及び、データベース作成グループとの今後の連携のため、本大学間連携事業の実施機関間における協定書を策定し、プロジェクト議長を定めました。さらに、レーダーなどのメタデータ・データベース に登録した測器の設置機関(インドネシア)等にIUGONET の説明をするなど国際展開を開始しました。

平成25年度以降の年次計画

平成25年度

前年度に引き続き、過去20年以上に渡って蓄積された観測データのうち、比較的古いデータのデータベース化、およびメタ情報の抽出を進めます。特に、古いデータの中にはアナログデータも含まれ、また、データの保管も紙媒体や磁気テープなどで行われている場合があるため、これらのデータのデジタル化や電子化にも取り組みます。解析ソフトウェアについては、各機関で新たにデータベース化された観測データに対応すべく、プログラムの追加・改変を行うとともに、時系列データと2次元画像データとの高度な連携表示の追加など、可視化・解析機能の拡充をはかります。

一方、本システムの海外展開についても検討します。特に、このようなシステムの確立が遅れているアジア地域において、本システムによるメタ情報の収集を提案し、より広範囲における超高層大気地上観測データの流通を目指します。

平成26年度

前年度までの作業を継続するとともに、超高層大気の衛星観測や数値モデル実験に関するデータベースおよびメタデータ・データベースとのデータ交換、相互利用について検討します。また、本事業の成果を統括し、「バーチャル情報拠点」を超高層大気以外の地球環境情報にも拡大することを目指し、システムの提案を行います。